第12回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内
謹啓
時下、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
埼玉医科大学総合医療センターと防衛医科大学校が共催し、埼玉県下の眼科診療に携わる病院と診療所との医療連携を深め、より充実した眼科医療の提供を目的とした「埼玉臨床眼科セミナー」も第12回を迎えることができました。
今回は防衛医科大学校眼科播本の教育講演、そして特別講演には、同じ県下の埼玉医科大学眼科教授に昨年就かれました篠田啓先生、そして宮田眼科病院院長の宮田和典先生をお招きし、学会では聞けない貴重なご講話を拝聴できるかと存じます。
講演会後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めて戴ければ幸甚です。多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。
防衛医科大学校 眼科学教室
教授 竹内 大
ー今日のデータを明日のためにー
眼光学系の担い手である角膜、水晶体に対する前眼部手術には、良好な視機能の改善と高い安全性とともに、それらの長期にわたる維持が求められる。しかし、ともすれば短期間の手術効果ばかり評価され、長期的な視機能の変化や組織環境への影響の検討は充分に行われていない。そこで、前眼部手術の効果と安全性の持続可能性、即ち手術のsustainabilityを中心テーマとして報告する。
手術効果、安全性の長期的検討には、計画的に取得された正確な臨床データが不可欠である。宮田眼科病院では、患者(Patient)の問題点に対して、データ(Data)を収集し、解析結果(Consequence)を、次の患者へフィードバックする(Application)ことを繰り返し、臨床レベルを上げる独自のPDCAサイクルに基づく診療スタイルをとっている。そのため、我々は長期間にわたる前向き・後ろ向きの患者データを有し、前眼部手術では過去10年間の手術件数39130件、術後10年のフォローアップ率は26%に及ぶ。この長期間にわたり集積されたデータの解析により、前眼部手術の効果と安全性のsustainabilityを多面的、探索的に検討し、得られた問題点に対してはさらに基礎的解析を加えた。
1970年にMachemer先生により考案され田野保雄先生樋田哲夫先生らにより本邦に広く教育がなされた硝子体手術は極めて安全性の高いものとなり、「みんなの硝子体手術」となりました。一方、手術には外傷という側面があり術式の進歩とともに様々な合併症が報告され回避するための工夫がなされてきました。手術中眼内は一時的に非日常的な環境にさらされており、今回我々はこのときの網膜機能の評価を試みました。
1991年のMiyakeらの方法をもとにして、LEDを内蔵した刺激および記録用のコンタクトレンズを用いた全視野網膜電図(ERG)記録(full-field ERG : FFERG)および、1988年の三宅養三先生の方法をもとにした黄斑局所ERG(focal macular ERG:FMERG)を手術中に行い、各手技による網膜機能変化を検討しましたので、その一部を提示させていただき、「嵐の最中の網膜の挙動」について皆様と一緒に考えたいと思います。
共催:埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社