第11回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内
謹啓
時下、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。埼玉県下で眼科診療に携わる病院と診療所との医療連携を深め、より充実した眼科医療の提供を目的とした「埼玉臨床眼科セミナー」も第11回を迎えることができました。これも偏にこれまでご参加頂いた先生方のお蔭であり、心より感謝申し上げます。
今回の特別講演には、帝京大学医学部眼科主任教授の溝田淳先生、東北大学医学部眼科教授の中澤徹先生をお招きし、溝田先生には悪性腫瘍に対する新たな治療法として注目されている重粒子線について、中澤先生には全身の病気が緑内障の進行に影響を与える可能性、そして緑内障の眼圧非依存性因子についてお話し頂きます。
講演会後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めて戴ければ幸甚です。
多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。
防衛医科大学校 眼科学教室
教授 竹内 大
低設定超音波水晶体乳化吸引術の角膜内皮細胞への影響
重粒子線治療はその物理学的及び生物学的特性から一部の悪性腫瘍に対して有効な治療とされており、2016年3月までは先進医療として行われてきたが、そのなかで一部の腫瘍に関しては、2016年4月の保険改定の際に保険適用となったが、残念ながら眼科領域の腫瘍はその対象となっていない。
眼科領域では現在涙腺腫瘍と脈絡膜悪性黒色腫の治療に応用されている。現在までの所涙腺腫瘍に関しては27例、脈絡膜悪性黒色腫に対しては184例の症例に対して本治療が行われている。
本講演では、重粒子線の特徴とともにこれまでの治療の変遷と、局所制御率、生存率などの予後についてお話し、上記の疾患のなかでもどのような症例がいい適応であるのかについて検討する。
緑内障による視神経障害は不可逆性である。そのため緑内障から失明を予防するためには早期診断・早期治療を適切に行い、緑内障性進行を正確に見極めることが大切である。
緑内障治療において眼圧下降は唯一エビデンスのある確立された治療法であるが、その病態は多因子疾患であると考えられている。特に、我が国に多い正常眼圧緑内障は、より多くの眼圧非依存性因子の関与が考えられる。そのため、十分な眼圧下降が達成されてもなお、緑内障が進行する患者の存在も意識すべきである。
近年、緑内障評価のための検査手段として、機能的解析、構造的解析共に充実し、更には眼圧非依存性因子の定量化も可能となった。それにより症例ごとに病態に関与する因子の理解が深まってくる。そこで、本公演では知っていると得する緑内障診療のポイントについて紹介したい。特に全身の病気が緑内障進行に影響を与える可能性、緑内障の眼圧非依存性因子について、これまでの東北大学における研究とその成果を、最近の知見と合わせ紹介する。
共催:埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社