第8回 埼玉臨床眼科セミナーのご案内

2015年7月17日(金) 19:00~21:00
川越プリンスホテル 3階「ゴールド」
埼玉県川越市新富町1-22 ☎049-227-1111
共催 :埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社
連絡先 :埼玉臨床眼科セミナー事務局 〒350-1316 埼玉県狭山市南入曽565-11
TEL:04-2999-0666 FAX:04-2999-0667

謹啓

時下、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

埼玉県下の病院と診療所との診療連携を深める目的とした「埼玉臨床眼科セミナー」に、これまでたくさんの先生にご参加いただき心より御礼申し上げます。今回は、埼玉医科大学総合医療センターの山田布沙絵先生による教育講演の他、旭川医科大学特任教授の石子智士先生にはロービジョンケアを含めた黄斑疾患の視機能評価について、そして山口大学医学部教授の園田康平先生には最新のぶどう膜の診断および治療についての特別講演を戴きます。講演会後は情報交換会をご用意しておりますので、学術、医療を通してより親交を深めて戴ければ幸甚です。多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。

謹白
防衛医科大学校 眼科学教室
教授 竹内 大

ご挨拶
教育講演
19:00〜19:20
顕微鏡のスポット照明を使用した裂孔原性網膜剥離に対するバックリング手術
座長榎 敏生先生 えのき眼科 院長
演者山田 布沙絵先生 埼玉医科大学総合医療センター眼科

網膜冷凍凝固および裂孔位置同定時の眼底観察に顕微鏡のスポット照明を使用した裂孔原性網膜剥離に対するバックリング手術の手術方法ならびにその成績を報告する。

対象は2009年2月~2014年2月に手術した49例51眼(男性31眼、女性20眼、年齢12~61歳)。手術では結膜切開、強膜露出、直筋への制御糸設置までの間に27ゲージ注射針を用いて角膜輪部から前房穿刺を数回行うことで眼圧を下げ強膜を十分に内陥できるようにした。室内照明を消して顕微鏡照明を角膜領域のみを照らすスポット照明とし、強膜を内陥させることで顕微鏡直視下に眼底を観察しながら網膜冷凍凝固を行うとともに裂孔位置を同定した。室内照明を点灯し顕微鏡を通常照明に戻してバックル縫着のための前置糸を設置後、強膜を切開し電気分解針で脈絡膜を穿刺して網膜下液を排液し、バックルを設置した。バックル位置の確認には通常の単眼倒像鏡を用いた。本法により51眼中50眼(98%)で初回復位が得られた。耳下側の限局性剥離に対し部分バックルを設置した1眼では術後、新たに上耳側に限局性の網膜剥離を生じ1年後に再手術を行ったので初回非復位とした。この例では冷凍凝固と部分バックルの追加で復位が得られた。

本法では冷凍凝固や裂孔位置の同定に際し、双眼倒像鏡を使用することなく顕微鏡直視下に操作できるので比較的容易に行え、手術成績も従来法と比べ遜色ないことから、有用な方法と考えられる。

特別講演Ⅰ
19:20~20:10
黄斑疾患の視機能評価
座長櫻井 真彦先生 埼玉医科大学総合医療センター眼科 教授
演者石子 智士先生 旭川医科大学 医工連携総研講座 特任教授

患者の見え方を把握するうえで、“視力”は最も重要な評価値の一つであり、病態把握・治療前後の定量的視機能評価に欠かすことはできません。しかし、多くの場合、視力の値だけに注目し、その持つ意味を深く考えたことはないのではないでしょうか?

通常“視力”は中心窩領域の視機能を反映しています。しかし、黄斑部に重篤な障害が生じると中心外の領域(偏心視域)で物を見るようになり、この領域の視機能を反映していることになります。さらに、病態の変化により偏心視域が移動することがあり、このことは、比較している視力が異なった領域の視機能である可能性があることを意味します。また、視力が比較的良好でも有効視野が狭いために字を読むことが困難な症例も存在します。これらのことから、偏心視域とその周囲の有効視野の評価は、黄斑疾患の病態把握のみならず実際の患者の見え方の把握に重要であり、ロービジョンケアを行う際に有用です。

ここでは、黄斑疾患の視機能を評価する場合におさえておきたい基本的な考え方をお話ししたいと思います。

特別講演Ⅱ
20:10~21:00
ぶどう膜炎診療の進歩
座長竹内 大先生 防衛医科大学校 眼科学教室 教授
演者園田 康平先生 山口大学大学院 医学系研究科眼科学 教授

ぶどう膜炎は感染症、膠原病・自己免疫疾患、悪性腫瘍など多種多様な原因によって起こります。原因病態の特定に苦労するわけですが、やみくもに検査を行うのではなく、臨床所見から系統立てて考えられる疾患をある程度絞り込んだ上で検査オーダーするのが効果的です。ぶどう膜炎の治療は、現在副腎皮質ステロイド薬中心に行われています。しかし以前に比べステロイド薬全身投与を行う機会は減少し、重症例でもデポ型ステロイド薬の経テノン嚢下球後投与・硝子体腔投与などの局所投与で治療する機会が増加しています。またベーチェット病に代表される難治性のぶどう膜炎に対しては、抗TNFα抗体治療が臨床現場で革命を起こしています。外科治療も近年めざましく変化しています。講演ではこうしたぶどう膜炎治療の進歩についてレビューしたいと思います。

一方これからのぶどう膜炎診療を考えると、患者検体から得られる情報を総合し、臨床応用に向けてターゲットとなる液性因子の絞り込みを行うことが有用です。今後の治療を見据えて、臨床のためにいかなる研究を進めるべきか?実際の症例に根ざして考えてみたいと思います。

※プログラム終了後、情報交換会を予定しております。
共催:埼玉臨床眼科セミナー/千寿製薬株式会社
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